機械設計10年続けて良かったこと、辛かったこと

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2社で機械設計に勤め、10年続けました。その後、退職してしまったのですが、設計をやって良かったこと、辛かったことを紹介します。

また、辛かったことの対策、転職の経験も含めます。同じことを感じる人は多いと思いますので、参考にしてもらいたいです。

機械設計とは?

知らない読者のために説明します。

設計者のイメージは「図面を書く人」「3D CADで絵を描く人」ですよね。それは正しいです。

自動車、家電製品、家具など製品が作られる前に必ず設計されていて、図面があります。その図面を書く人が設計者です。

ちなみに、僕のイメージでは、建築設計と機械設計は別物です。僕がやっていたのは機械設計の方です。

設計をやって良かったこと5つ

1 開発の過程が全部見える

仕事の必要性を理解した上で、仕事したい性格です。よくわからない仕事が来るとやる気だだ下がりですし、メンタル的につらいです。ただでさえ忙しいのに、必要かどうかわからない仕事をしたくありません。

その点、設計者は開発過程が全部見ますから、どうしてこの製品の開発が必要なのか、どんなニーズがあるのか、知ることができます。

これが製造現場や購買などではそうはいきません。図面が下りてきたら仕事し始めますから、図面がどうやって描かれたかはわかりません。本当は知らないといけないんですけどね。

2 製品化したときに達成感がある

後述しますが、設計はかなり苦労するんです。

製品化までに年単位の時間がかかりますし、場合によっては試作品も作らせてもらえません。なかなか形になってくれないんです。それが目に見える形になったときは達成感があります。

これが、サービス業や、ソフト開発だとないですよね。

形になるというのは良いものです。

3 出世コースに乗れる

製造業に必要な職種の中で、かなりクリエイティブで、高度な知的労働をするのが設計者です。そのため、設計者として実績を積むことは、出世に有利です。

僕の経験上、設計出身者が昇進していく割合はかなり多いです。設計として出世する人、他部署に移動して出世する人などです。

しかし、高度な労働を要求されるので、きついです。図面が描ければ、CADが使えれば良いというものではなく、誰にでもできる仕事ではありません。

僕はこなしていましたが、辛い気持ちの方が大きかったので、向いてなかったんでしょうね。

4 自慢できる

「あの製品はオレが設計したんだぜ(ドヤっ)」

僕は自分の仕事を話すとき、思いっきりドヤ顔してます。合コンでも「すごーい!」って言われます。

ドヤれる仕事はいいですよ!

5 転職に強い

これ、大きいです。

自動車、冷蔵庫、スプーン、おもちゃ、全部設計者が設計しているんです。

設計のスキルがあればどの業界でもやっていけるということですね。そして日本は製造業がたくさんある。

また、優秀な設計者は常に不足しています。設計者は図面を書いて、その通りに購買部や製造現場などを動かすところまでやらないといけないのですが、ちゃんと指示出せる人はかなり少ない。

そして、できる設計者がいれば後々不良や問題を出さないので、会社としてかなり有利。

だから、設計者は引っ張りだこです。

僕は全然違う業界に転職し、お給料もだいぶUPしました。

業界が変われば給与水準も変わります。つまり、ステップアップしやすいということです。

設計として辛かったこと5つ

コミュニケーションが濃すぎる

コミュ力低めなので、人との関わりが少ない職種につきたいと考えていました。その点設計は、物と図面だけ見ていればいいと思っていたのですが、全然違いました。

設計者は、製品の企画部門と、製造現場の橋渡し役です。

「こういう製品を作ってほしい!」という企画部門に対し、

「こんな製品作れるわけないだろ!」と文句を言う製造現場、

その両者の意見を図面に入れないといけません。つまり、橋渡し、板挟みの打ち合わせばっかりです。

そして、仕事のストレスは人間関係からくる。

もうメンタルズタボロです。

正解がない

消費者の立場で考えると製品は正常に動いて当然ですが、実際、不良率0%はありえません。

どんなに完璧な設計、生産だったとしても、製品には必ず寸法、材料、性能にばらつきがあり、中には不良になります。

不良を限りなくゼロに近づけようとすると、検査や設備にお金がかかり、赤字になります。

あちらが立てばこちらが立たずです。

完璧な設計がないので、関係者は文句言い放題。それを受け止め、図面に反映させるのが設計者の仕事です。

資料ばっかり作っている

高品質!低コスト!短納期!そんなのありえないので、どこかで妥協します。

それを判断するのは経営者です。

そして、経営者の判断材料を用意するために色んな部署が作業しますが、設計者もその一人です。

実際、会社にいる時間の7割は資料作成でした。

資料作成して、上司に指摘され、それを直している時間はなんなのだろう?と悩みます。当然、必要な時間なのですが、どうも納得いきません。

不良が出たときに呼び出される

ユーザーから不良のクレームが来た?設計が悪い!

製造現場で上手く作れない?設計が悪い!

なんでも設計のせいにできます。何か問題があれば必ず呼び出されます。扱う製品が増えてくると、呼び出される回数が増え、忙しくなっていきます。

まるでエントロピーの法則ですよ。乱雑さの増大が止まりません。

忙しい、開発日程ない

僕を含め、設計者はプライドを持っている人が多いです。納得のいくように設計したいのです。

しかし、それをさせてくれないのが開発日程。

残業はもちろん、サービス残業も必須です。2社経験しましたけど、サービス残業している人はいっぱいいます。上司はほぼ必ずやってました。

働き方改革なんて言ってますけど、残業ゼロ、有休消化100%になるまで何年かかるでしょうか?会社員として働く上で一番許せないのはココです。

時間は命ですから。

辞めた今思うこと

良い製品を作るには良い設計者が必要なのに、ただ替えの効く部品のように使い潰されているように見えます。

僕は定年まで続けるつもりで就職、転職したけど、無理でした。

もともとキツイ状況だったけど、子どもができてからは特に体調管理が難しくなった。

僕には耐えられなかった。

仕事に潰されそうになったので辞めました。

仕事以外にもやりたいこといっぱいあるので、辞めたことに後悔はしてません。

設計者は転職をためらわないでほしい

設計者は、メーカーの中で一番大事な職種です。

どの企業も優秀な設計者が足りていません。設計は転職に有利です。

今、苦労している設計者にはどんどん転職してもらいたい。

そうして、設計者の不遇を正すようメッセージを発信しないといけない。

転職するなら、エージェントは必須

多くの設計者は、違う業界に行くことをためらうと思う。

やっていけるか不安ですからね。

でも心配しないでほしい。開発フローの大枠はほとんど同じですから、すぐ慣れます。

そしてどうせ転職するなら好待遇を目指すと良いです。

待遇は業界、企業規模で決まります。

どの業界、どの会社が好待遇かの情報は転職エージェントが持っていますから、その情報を活用すべきです。

僕は、転職エージェントから、違う業界のある会社で大量募集をかけていると情報をもらい、転職しました。大量募集ということは採用枠が多いのでとても有利です。

自力で見つけられる情報は限られます。

無料で、迅速、確実に情報提供してくれるエージェントはとても良い存在です。