熊が出た!死傷者が出た!店に逃げ込んだ!猟友会「駆除した!」。最近ニュースが多いですね。なぜ出没が多いのか?熊を駆除するのは正しいのか?逃がせないのか?情報を整理します。
2020年の熊出没件数は多いのか?
環境省が出しているデータをまとめました。速報値ですし、データのとり方は各都道府県ごとに違ったりするので、正確ではないです。ふーん、あっそ、という程度にみてください。
全国(北海道以外)出没情報の件数

※2020年度は4~8月までの情報しかないので、点線にしています。
年によってばらつきがありますね。2020年度の情報はまだ途中ですが、このペースで行くと昨年度は超えそうです。それでも極端に増えているということはありません。
季節別、出没情報の件数(岩手県)
県別に見るとダントツで岩手県の出没件数が多いです。その岩手県で見てみます。

2019年度のデータです。多い月と少ない月がはっきりしていますね。北海道以外のクマはツキノワグマですが、冬眠時期は12月下旬~4月初旬です(産経ニュースより)。冬眠期間の出没件数が少ないのは納得です。逆に最も多い時期は7月なんですね。冬眠前の秋がMAXかと思いましたが、そうなっていません。岩手県の山は寒いから早めに冬眠に入っちゃうのでしょうか?
2020年の熊が凶暴なのか?
テレビで「今年の熊は凶暴や!こんなの見たことない!」という目撃者のインタビューが出ていました。ほんとかよ!?
過去の被害者数のデータは環境省がまとめていました。2020年は8月までのデータしかないのですが、少なくとも8月までで今年の被害が多いということはありません。9月10月になって急に増えた、ということがあるかもしれません。データが出たら本記事を更新します。
単に報道される件数が増えただけなんじゃないか?というのが、私の感想です。
日本にいる熊の種類は?数はどのくらい?
そもそも熊ってなに?童謡や宇多田ヒカルの歌みたいなかわいいものなのか?調べました。
日本では2種類が生息
日本にはツキノワグマとヒグマの2種類がいます。
ツキノワグマ | ヒグマ | |
体長 | 110~130cm | 200~230cm |
体重 | オス80kg、 メス50kg程度 | 150~250 (オスの方が重い) |
食物 | 雑食(主食は植物) | 雑食(主食は植物) |
生息地 | 北海道以外 | 北海道 |
小さい方のツキノワグマでさえデカい。体重は人間と同じくらいですね。オスは太った成人男性のサイズです。80kgの人間って結構でかいですよね。あれに牙と爪をもたせるわけですから、勝てるわけありません。
ヒグマに至っては人間の2~3倍のサイズがあります。巨体なのに主食は植物。ドングリでそんなにデカくなれるんかい!また、かなり大量に食べることが容易に予想できますね。それなら山のドングリを食べつくして人里に下りてしまうのも納得です。
数はどのくらい?
ごめんなさい、数は探せませんでした。
世界的にはツキノワグマが絶滅の恐れがあるとして、国際自然保護連合(IUCN)がレッドリストに掲載しています。また、環境省においても、一部地域に生息するクマをレッドリストに掲載しています。それなりに数は減らしているようです。
同じ種類でも住む地域ごとに管理しているのは初めて知りました(参考:日本熊森協会)。よく考えれば、生物は住む場所の環境に適応して進化していくわけですから、住む場所が変わればそれはもう違う種類とも言えますね。
なぜ、山から下りてきてしまうのか?
上でも書きましたが食糧のためです。主食となるのは木の実ですが、毎年同じ量の実がなるわけがなく、多い年もあれば少ない年もあります。少ない年は食べ物を探すために広範囲を動き回る。結果として人里にも来る。そういうことですね。畑などを放置して草ぼうぼうになっていると、身を隠しやすいことや食べ物があることで、熊を招きやすい状況になります。
ここで大事なのは人里に下りても狙いは人間ではないということです。人間を襲うのは身を守るためです。
人里に来た熊を駆除するのが正しいのか?倫理的には?
熊が犬や猫のように人の生活空間にいることはできません。しかし、熊は生きるためにしかたなく人里に下りてきます(人里と認識はしていないが)。来てしまった熊に対してできる手段は2つしかなく、山に帰すか、駆除するか、です。
山に帰す?駆除する?
個人的には、間違って人里に来たのだから、山に帰せばいいじゃない、と思います。しかし、最近のニュースでは駆除してばかりですね。
人の社会において、動物に生存権はありません。物と同じような扱いですね。野生動物をむやみに狩ることは禁止されていますが、少なくとも人間より命は軽いです。日本社会としては、山に帰す苦労をするくらいなら駆除してしまえ、という感覚に見えます。
これが正しいことかどうかは人によって意見の分かれるところですが、熊の多い秋田県の秋田市がこんなことを言っています。
捕獲後は、山奥に放獣すべきとの意見をいただきましたが、山へ返すことは種の保存につながることは確かです。しかし、それはクマの個体数の増加につながり、山奥のエサ不足、そして結局は人里におりてくるという悪循環になります。
クマの目撃情報や捕獲は、そのほとんどは人間の生活圏にとても近いところです。そのため、人間と接触する機会も多くなっており、市民の安全を守るためにクマを適度に駆除することは、必要な措置であると考えています。
秋田市HP:https://www.city.akita.lg.jp/shisei/iken/1003645/1004656/1003553.html
「山へ帰したいが、個体が増えすぎると対応しきれなくなる。市民の命を最優先した結果、適度に駆除することにしている」ということですね。この意見に私は同意しますが、皆さんはどう思いますか?正解はありません。
人と熊のなわばり争い
人も自然の一部だと考えたとき、これは熊と人間のなわばり争いと捉えられます。熊は生きるために人の縄張りに来た。人も命を守るために熊を排除する、それは自然なことです。さらには、力のある人の繁栄とそれに伴う熊の領地の侵略も自然の成り行きです。
もう少し別角度で見ると、人間が邪魔者を一方的に排除しています。これは行き過ぎるとよくありません。邪魔者はクマだけじゃありません。農作物を荒らすイノシシや猿、害虫、蚊、ハエ、いっぱいいますよね。細かいことを言い出せばキリがありません。それらをすべて排除していったら、行きつく先は自分しか残らない世界です。極端にならず、寛容な心を持つことが強者である人間に大事なことです。
会社という狭い世界の中でも似たようなことが起きますね。嫌みばっかりいう会社の上司や、ウマの合わない同僚と一緒に仕事しないといけないわけです。上司は自分と考えの合わない部下を邪魔物として排除しようとしてきます。自分のチームという縄張りを守ろうとするわけですね。部下は力が弱いですから、どんなに抵抗しようといずれば折れていきます。考えを変えていける人は生き残りますが、そうでない人は命を落とす(駆除される)か、縄張りを追い出されるか(山に帰されるか)です。あまりにもずれた考えの人と仕事はできませんから、仕方ないですけどね。そういうとき一番いいのは住み分けです。お互いが摩擦を起こさないよう、異動するか、転職するか、ですね。
熊と人間に話を戻すと、人間の方が力が強いわけですから、熊に対して住み分けるようメッセージを発信し続け、摩擦を起こさないのが最善ではないでしょうか。
美的センス
これも個人の感覚なので、あまり真面目に捉えないでほしいのですが、多様性って言葉がありますよね。わたしは好きです。いろんな動物、植物、いろんな性格の人間がいるから面白いんです。人間社会の中で考えてみても、人種や性格、考え方が多様だから面白いんです。多様性があるから地球が美しいんです。私はこういう美的センスを持っています。
この考え方が危ないのもわかっています。美しいの逆は醜いです。醜いものを排除しようとする心があることを認めざる負えません。しかし、できる限り、醜いものも受け入れられる寛容な心を持ちたいです。
つまり、熊に接するとき、その存在を認める気持ちを持ちたいですね、ということです。
熊に遭遇してしまったら?
巨大なヒグマが出る知床財団HPに書いてありました。ここではざっくり書きます。
まず出会わないよう気を付ける
クマも人間に出会いたくないですから、音を出して知らせてあげましょう。じゃあ鈴を持っていれば安全かというとそんなことないです。風や川の音などに負けて熊が気付かないかもしれません。やはり、クマの気配に注意するというのが基本です。
クマが出そうな場所に近づかないのがベストですけどね。
出会ってしまったら
静かに立ち去るしかありません。もし、逃げられない状況になったらうつ伏せになって両手で首を隠すのがいいみたいです。急所を隠すことでケガはしても命は落とさないようにするということですね。そんなこととっさにできるかな・・・。
ちなみに、死んだふりは無駄だそうです。死んだふりして死ぬなんて笑えません。
まとめ
・2020年だけ特に被害が多い、というのは今のところわからない。
・人里に来た熊がある程度駆除されてしまうのは仕方ない。かわいそうだが。
・しかし、熊にも事情があることを察する気持ちは大事
以上。クマに限らず、野生動物との接し方を考えるきっかけになったら幸いです。
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